column

りりこのコラム

安全性を支える1万本の松杭

旭化成建材の杭打ちデータ偽装問題は、日を追って益々混迷の度合いを濃くしています。この問題に接して、最初に私の頭に浮かんだのが東京駅です。「東京駅とは真逆の考え方なんだな。」と。

今回、旭化成建材が施工した杭は、「支持杭」と呼ばれるタイプのもので、地中の岩盤層に杭の先端が到達して初めて支持力が得られるものです。さらに、一本一本の杭の太さを太くして本数を減らせるよう国土交通大臣の認可を受けた特殊な工法だとか。今回はこの「本数を減らして」という考え方が裏目に出た形です。

一方、東京駅を支えていたのは「摩擦杭」と呼ばれるタイプのもので、それには長さが8メートル程の青森県産の松が使われました。その数1万本あまり。一本一本の支持力は小さいものの、数でカバーする考え方です。
先に述べた旭化成建材の工法は合理的で優れた技術である反面、少しのミスも許さないという危険性を孕んでいます。
他方、1万本の松杭の中には無駄なものや役に立っていないものもあるかもしれません。が、それが安全につながるのだとすれば決して無駄ではないのだと思います。

データ偽装の行為自体は許されるものではありません。ですが、その担当者も「より合理的に、より安価に、より早く」という考え方の犠牲者なのかもしれません。

HOME MAKING

RENOVATION

郡山市,須賀川市,田村市を中心に事業を展開する
増子建築工業(りりこ)のリノベーションについてご紹介いたします